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2013/12/16

米国における家畜に使う抗生物質の危険性と連邦政府の政策

日本では狂牛病問題で米国産牛肉を一時輸入禁止し、その後も厳しく監視していましたが、最近はTPP交渉でどうすれば日本の畜産を守れるかという業界サイドの議論が大きく取り上げられています。米国内では工業的な畜産に伴う問題点が議論されており、特に抗生物質の使用による弊害が大きな問題になっています。

TPPでは経済性と関税が議論の中心になっていますが、重要なことは日常生活における食の安全や健康を維持するための社会システムあるいは環境の保全だと考えます。価格を別にしても、安全性に疑問のある米国産の牛肉等を受け入れてよいものかどうかをよく考えることが重要と思います。

ワシントンポストに10月22日掲載された記事の要点は、家畜に用いる抗生物質は人に有害であるが、議会はその使用を止めるつもりはない。農場及び化学会社のロビーが米国で家畜を飼育する際の抗生物質の使用を少なくするためのあらゆる努力を阻止してきている。抗生物質の使用は人々の健康にますます危険を及ぼしており緊急の問題であると言っています。
問題点を指摘した研究論文The Centers for Disease Control and Preventionが発表されました。


1. その骨子は以下の通り。
・抗生物質が病気の治療に必ずしも有効でなくなってきている現在、人間に使用するのと同じ抗生物質を家畜飼料に使うことを制限するべきである。
・FDAの統計によると、抗生物質の80%が食用動物に使用されている。(*1)
・毎年23,000人が抗生物質耐性のある感染で死亡している。(*2)
 ある特定の病原菌が抗生物質に曝されると、より早くその抗生物質への耐性を獲得することが出来る。
 殆どの科学者は、人への抗生物質の過剰投与は細菌が抵抗性を獲得する主な原因であるということに同意しており、牛、豚、鶏の病気をコントロールし予防するための薬品を広く使うことが、感染を引き起こしていると考えている。(*3)
・朝、昼、晩と抗生物質を家畜に給餌することは、恐ろしく経費を増大させ、薬品の効果を減少させ、更にもっと抵抗性のある細菌をつくることになる。(*4)
Bob Martin氏(Johns Hopkins Centerの専務理事)は、「今検討されているFDAのガイドラインは、食用動物への抗生物質の使用を止めることを業界に要請するが、疾病抑制のための使用は認めることになるだろう。しかし何が疾病抑制かの定義が緩いため、現実は変わらないだろう」と述べている。

2. 畜産同盟(Animal Agriculture Alliance)のEmily Meredith氏は、「生産者は過去数十年間に改善しており、抗生物質を賢明な方法で使っている」と話している。またこの同盟は独自の報告書を発表し、米国の食品安全は最善である。鶏や卵の生産に使用するFDA承認の抗生物質は殆ど人体用の薬としいては使われていない。従って、人体における抗生物質耐性の増大には関係ないと主張している。


ポストの記事(by M.Henneberger氏 Oct.23)では、上記1は畜産での抗生物質使用の危険性を鑑み使用禁止または抑制を主張し、上記2は業界からの強い反対意見を紹介している。
テネシー大学獣医学薬カレッジのM.Blackwell氏は、「この論争は長年にわたり継続しており、1970年代にはFDAは人体用の薬品と畜産生産に使用している2クラスの抗生物質は、畜産に継続的に使用すべきでないと発表したが、業界の激しいロビー活動の結果、FDAは撤回した。FDAの人たちの中には、工業的畜産生産は恐ろしい状況にあると考えている」と述べている。
「たった1つの良いニュースは、消費者が食品がどのように生産されているかに注意するようになるになって、変化を要求していることである」と報告書の執筆者達が述べている。

2013.12.01

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