2011年5月28日、3日間続いたアジア最大規模の有機食品展示会が幕を閉じた。
出展社数342社、来場者数は14,613名。昨年は313社の出展社数、11,526名の来場者。今年の来場者は3割増である。

JONAは、全国健康産業新聞の取り計らいで出展希望会員の有機品を展示した。

印象1、今回開催5回目である。以前と比べて、展示品に加工品が多い。
中緑華夏有機食品認証センター(COFCC)の李顕軍常務副主任の話では今年の出展者のうち約七割が加工品の展示ブース。以前は穀物類や農産物の乾燥品及び生の野菜などの展示が多かった。市場のニーズがあるため多様な有機加工品が増えたのでは、と李主任は分析した。

印象2、市民グループの活躍。
今回の展示会に三つの市民グループが出展し、会場内で参加者に有機食品推進運動の内容を説明し、有機生産を通して環境にもたらすメリット、消費者健康維持への良さなどを熱くアピールしていた。
このような市民グループの活躍とマスコミが有機農業・有機食品に注目していること、更に頻発している食品安全問題というバックグランドの中で、中国の有機食品市場は現在年率30%位の上昇率を誇り、有機出荷額は100億元、日本円で約1250億円の規模となっている。


毎日日程がビッシリと詰まっている講演会をいくつか聴講した。
印象に残ったのは四川省にある有機・生態村の建設を目指す町興し運動。同運動を起こした女性は成都市有機食品貿易協会を設立し、有機食品の販売業者や生産者を纏める組織として有機食品の普及に力を入れてきた。数年前に成都郊外にある古い町と提携して、町ぐるみの有機・生態村建設を発案した。中国では効率の低い農業、退廃する農山村、経済的に遅れている農家の三農問題を解決するために政府は新農村建設運動を推進している。この中で有機・生態村の建設は政府の意向にも沿ったもので、農業部からモデル事業としてバックアップされている。地方政府も応援して、有機生産による農家の収入確保、環境保全、景観重視の村造り、消費者、観光客の到来で、地域の活性化がもたらしている。

もう一つ印象に残る発表者は上海地元の名門新聞社の元記者の女性が自分の子供に安全な食品を食べさせたい一心で3年前に立ち上げた市民グループ。専門家委員会を組織し、市民に有機食品の生産知識を紹介し、市民を連れて認証済みの有機農場を見学させ、自らの目で確認させて有機食品の普及に頑張っている。特定の有機農場に有機生産の知識を持つ消費者が頻繁に足を運んで、生産の様子を確認する非常にユニークな制度作りができると思われる。

以上

(JONA事務局 胡杰)